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2021.4.23

【企業#1】自分の考えを発信することが、未来へのカギとなる【後編】

育休後コンサルタント
山口理栄さん

―これまで前編・中編と渡って、育休復帰についての課題とその解決方法にお伺いしてきました。もう少し広く「育休」として捉えたとき、どんな問題があると考えられておられますか︖
日本の育休に関する法律は世界一恵まれていると感じていますが、男性で育休を取得した人は2019年で7.48%しかいない、という統計も出ています。一方で、ある統計では育休を取得したいと答えた2021年入社の男子大学生・大学院生は51.5%もいるのです。
―現状と理想のギャップはなぜ生まれているのでしょうか︖
「男は仕事、女は家事」という性別役割分業の考え方がまだまだあるから、と考えています。その固定観念はいま、2つに表れています。1つは、部長や課長を担う男性管理職世代の考え方です。彼らが若いころは、会社から男性の給料に家族への手当てが含まれるなど、男性一人が働くことのバックアップ体制が整っていました。そのため、男性は働くものだという考えが、無意識に染みついてしまっています。結果、部下が育休を取得したいといっても否定的になるわけです。そしてもう1つは、メディアです。最近いろんな企業が炎上していますが、いまだにジェンダーステレオタイプな広告販促物を、世の中に打ち出す企業が目立ちます。メディアの働きによって、我々は無意識に「そういうものだ」と固定的性別役割を認識してしまいます。この2つが、育休を取得したいという希望と、実際に取ることができないという現実のギャップを生み出す根本的原因になっていると感じます。
―この問題はどうやって解決していく必要があるのでしょうか︖
育休復帰者が今後どうしていきたいのか・今はどういう状況なのかを上司に言うべき、とお話しましたが、この問題も同様です。取得したい人が上司にその意向をきちんと伝えるべきです。休業取得意向を否定することは、法律に違反しているので会社は断ることができません。取得したい人、1人1人がボトムアップで育休を取得する意思を表明していくことが重要です。
―そうすることで、育休取得率の向上を見込めるというわけですね。
そう思います。実は今でも、育休にはカウントされない、有給休暇や特別休暇を使って、妻の産後に休んでいる男性はたくさんいるのです。これを「隠れ育休」と呼ぶこともあります。ある統計では、隠れ育休を含めると、男性全体の56%が、妻の産後に休みを取得しています。そういう意味では、社会全体の男性育休への許容度は確実に高まってきていると感じます。今後、数ヶ月単位の育児休業も当たり前になるようにしていくことが必要だと考えています。
―ありがとうございます。最後に、今後の育休に関する未来についてお考えをお聞かせください︕
2つあります。1つは、復帰後の働き方とし「時短勤務」があることをお話しましたが、その必要性が限定されていくのでは、と考えています。いま職場でのマネジメントは時間管理主義ではなく、成果主義に移行しつつあります。職種にもよりますが、時間の長さにこだわる働き方は時代遅れになっていきます。質の高いアウトプットを出してさえいれば、8時間必要であるとは限りません。効率よく働き、十分な時間を子育てにあてることができます。もう1つの考えとしては、各企業が育休への理解を示したメッセージを出すようになると考えています。大手住宅メーカーS社は「育休を取ることで評価が不利になることは一切ない」という
前提で、男性社員の該当者全員に1ヶ月の育休取得をよびかけ、達成しています。働く人たちが安心して仕事と育児の両立を実現できるように、企業がバックアップをしていくことが重要です。
―本日はありがとうございました︕
関連リンク
育休後コンサルタント 山口理栄さんはこちら
【前編】はこちら
【中編】はこちら