INTERVIEW

育休・産休にまつわる領域に
積極的に取り組まれていたり
女性活躍の分野に注力されている
行政さんや、企業さん、団体・組織さんを
インタビュー形式でご紹介いたします。

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育休後コンサルタント
山口理栄さん

【企業#1】自分の考えを発信することが、未来へのカギとなる【前編】

今回は大手日系メーカーの部長を務めたのちに、育休後コンサルタント®としてご活躍されている山口さんにインタビューさせていただきました。全3回に渡ってお届けします。ぜひ復帰後の問題への理解を深めてみて、ご自身から行動を起こしてみてください︕
―本日はお時間をいただきましてありがとうございます︕育休後コンサルタントというかなり具体的で珍しいご職業ですね。まずは普段のお仕事の内容をお聞かせください︕
育休後に、休業者がスムーズに職場に戻り、スムーズに業務を進めることが難しいという問題を解決するコンサルタントとして活動しています。大手企業を中心とした法人向け研修、官公庁や自治体向けの研修を行っています。研修はクローズドな社内研修が大半を占めておりますが、一般向けのセミナーも開催しています。研修参加者の属性としては、管理職向けが3割、休業中の方向けが6割、それ以外の方(経営者層、若手層)向けが1割です。
―ありがとうございます︕具体的にはどういう問題が育休復帰にはあるのでしょうか︖
実は、休業者と管理者の間にある悩みは長年変わっておりません。前職の大手メーカー勤務時代、1994年に育休を取得しましたが、その時に感じたことと、今の世代が感じていることにあまり違いはありません。問題は、具体的には、大きく2種類あります。1つ目は、育休復帰者が、職場復帰後の仕事への取り組み方があまり明確に指示されない傾向にある、という問題です。休業者は職場に復帰することに不安を感じます。なぜなら職場環境や人間関係、部署の立ち位置など、多くのことが変わっているからです。職場内でやるべきことも変わっています。ブランクが空きすぎているとなおさらです。しかし、育休から戻ってきた方への対応を特に定めていない会社が目立ちます。
―特に定めていない会社が多いとは、、、驚きです。2つ目の問題は何でしょうか。
本人が志向するキャリアに基づくやりたい仕事と、上司が求める・与える仕事のズレが生じていることです。特に今は、キャリアアップを目指す女性がいることは珍しくなく、社会としても女性活躍促進の傾向があります。そのため、たとえ時短勤務であっても、難易度の高い仕事や、ある一定の仕事量を求める方が多くなっています。一方で、上司は子育てを圧迫しないか、無理に残業させていないかと心配して、仕事量を極端に減らしたり、簡単な仕事しか与えない、という対応をします。結果、仕事も育児も中途半端になってしまう方が散見されます。その「中途半端さ」に苦しみ、育児メインに切り替える=退職に至るケースもあります。
―育休から復帰した当事者にフォーカスすることが多い領域ですが、マネジメント層も悩んでしまうポイントがあるわけですね。
育休復帰者がキャリアプランや子育て事情について口に出して語ることはまれです。上司にはあまり共有しません。部下の育児との両立に関する環境がブラックボックスとなってしまい、上司としては、仕事を振ることがとても難しくなります。結果、上司は安全サイドに立って、「仕事はあまり振らない」という方向になってしまいます。それがまた、復帰者にとっても重荷になります。本来自分に振られるはずであった仕事が他の人に移ります。つまり、仲間の仕事量の負担が増えます。そのことで、育休明けの方は申し訳ない気持ちにつまれ、さらには自分はキャリアアップできないのでは、という漠然とした不安を抱くようになります。こういった背景から上司としては「無理しなくていいよ」という声がけをするものですが、復帰者にとってはそれが「単なる優しさ」なのか「戦力外通告」なのか判断がつかなくなり、というように、負のサイクルが生まれてしまいます。
―きちんと上司と育休明けの方が何を考えているのかを考える必要があるわけですね。
「バリキャリ・フルキャリ・ゆるキャリ」(武田佳奈著「フルキャリマネジメント: 子育てしながら働く部下を持つマネジャーの心得」より)という言葉があるように、働き方は多様化しています。特にフルキャリ=仕事もプライベートもちゃんとして納得あるものにしていくキャリアを志向する方は、女性労働者全体の 5 割に上るとも言われています。どんな働き方を志向するのか、その背景には何があるのかを、上司・復帰者双方が声に出して考えを共有していく必要があります(中編に続く