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2021.4.09

【企業#1】自分の考えを発信することが、未来へのカギとなる【中編】

育休後コンサルタント
山口理栄さん

ー前回、上司と育休復帰者のコミュニケーションの重要性について触れられていましたが、具体的にはどういったアクションを起こせばよいのでしょうか︖
「考えを発すること」が何よりも大事です。まず育休復帰者にフォーカスを当てますと、パートナーがどんな働き方をしているのか、家事や子育ての分担はどうなっているのか、幼稚園や保育園の保育時間、実家は近いのか遠いのか、子育てと仕事の度合いはどれほど望むのか、キャリアはどう志向しているのか、などを上司にきちんと伝えることです。具体的には、例えば、子どもが発熱したときの対応です。赤ちゃんは平均して年に20日~30日は熱を出す日があります。その時、自分が休んで対応するのか、それともパートナーが対応するのかを上司に言うだけでも、上司は家庭の状況を把握することができます。上司が把握することで、仕事を的確にアサインすることが可能となります。家庭内事情を他の人に話すのは気が引けるかもしれませんが、きちんと話すことで結果的に自分が苦しむ状況を避けることができます。
―反対に、上司としては何ができるのでしょうか︖
まず、育休復帰者の方が家庭における両立事情を話すことができる雰囲気づくりに努めることです。一番実施しやすいのは、職場復帰後に面談を開くことです。厚生労働省が職場復帰時に聞くべきことをまとめた面談シートを開示しています。そういった資料を参考に、部下の状況を把握することが大事です。1回でも面談をすれば、最初の面談時に聞いた状況と変わりがないかを聞きやすくなりますからね。そうすれば、復帰者も自己開示をしやすい風土づくりができるようになります。そして変化に合わせて、上司も仕事のアサインを変更させていくことが可能になります。
―これは育休復帰後だけに関わらず、日ごろから上司・部下でコミュニケーションを取ることが重要である、と結論付けることもできますね。
もちろん立て付けだけできちんとやっていけばいいわけではなく、例えばキャリアアップを志向する方には、「今後の活躍を期待していること」を言葉で伝えることも大事ですね。
ただ、上司だけがインセンティブを取って面談を設けることが大事、と言いたいわけではないことに注意してください。「上司がなかなか理解してくれない」と声を上げる方をよく目にしますが、自分から話をしようとする行動も大事です。
―それに加え、上司に話すためには、家庭内できちんと決めておかなければいけないこともありそうですね。
そうです。自分から家庭における両立事情を上司に話すためには、パートナーと事前に話し合うことが必要です。子どもが熱を出したときどうするのか、家事の分担はどうするのか、送り迎えはどうするのか、など互いの仕事の現状を把握して、家庭内最適を図った分担制を取ることが重要です。さらにはパートナーがリストラされてしまったなどのリスクが、これからの時代は付いて回ります。リスクヘッジを家庭内でどうしていくかも話し合えることが理想です。他の家庭がどんな状況なのか、ではなく、自分の家庭はどうするのかをきちんと話し合うことを経て、上司へ話すことが可能となります(後編に続く)。
関連リンク
「育休後コンサルタント 山口理栄さん」はこちら!
【前編】はこちら
【後編】はこちら