子育て・女性活躍総合メディア presented by Chick Tag

  1. HOME
  2. インタビュー
  3. 【NPO#3】支援だけでなく、町を、文化を、作っていくこと@こまちぷらす【後編】

2021.8.13

【NPO#3】支援だけでなく、町を、文化を、作っていくこと@こまちぷらす【後編】

NPO こまちぷらす
代表 森 裕美子 さん

―地域に根差して活動領域の幅を広げていったからこそ、NPOの中でも「認定」を得ることができたのでしょうか?
活動の実績だけでなく、透明性や、どれだけ多くの人に支えていただいているのか、が大事です。言い換えれば、多くの方が参画するような、文化づくりには注力しています。
―文化づくりは一筋縄ではいかない印象です。
文化づくりには何が必要だと思いますか?

―何をやるのかよりも、継続してやることが大事であると考えています。
確かに継続性も大事ですね。これに答えはないのですが、私は2つの概念的に重要なことがあると思います。まず、一人一人の市民が文化づくりに参画できる環境です。私たちでいえば、カフェもそうですし、企業とタッグを組んだ施策など、組織や個人の属性にとらわれずに参画できる場を提供していって、逸れ者を作らない仕掛けが必要です。もう1つは、プラットフォームにしていくということです。カフェのようなハードだけでなく、自治体が施行する制度だけでなく、企業がつくるインフラだけでなく、当たり前のようにそこにあって無意識にみんなが利用するコミュニティが必要です。これは現代では特に必要です。
―2つ目は、具体的にどんな役割を果たすプラットフォームなのでしょうか?
既存の「子育て」の枠組みの中で、子育て世代が何か困ったことに直面した場合、それを解決するために利用できる制度やサービスがあります。昔は、その子育て領域に関わる制度やサービスの数が少なかったので、その困りごとを「コミュニティ」がクッションとなり受け止めてきました。一方で、現代は多くの制度やサービスが存在するようになって、コミュニティに頼る文化が消失してきています。言い換えれば、制度やサービスに困りごとの解決を任せ、クッションが無くなってきてしまっているのです。でも、制度やサービスは一人一人にカスタマイズされているわけではないので、結果、制度やサービスから取りこぼされることが起きてしまいます。その取りこぼされてしまう「困りごと」や「人」を受け止める役割を担うコミュニティが、現代に求められる子育て領域のプラットフォームであると考えています。
―文化づくりに邁進してきた「こまちぷらす」さんですが、今後の発展に向けてどんな課題があるのでしょうか?
大きく3つあります。まず、団体が大きくなってきた半面、関わるプレイヤー数も増えてきたので、それぞれに対して「どうやって丁寧にスピード感をもってやっていくのか」です。一人一人の市民、行政、企業など、多種多様な人たちが関係しあって、コミュニケーションを取っています。同じ方向を向くには、一人一人と信頼関係を構築することが大事になるので、密なコミュニケーションも必要となります。時には論理がぶつかったり、意見が対立することもあります。プレイヤー数が多い中で、一つ一つ問題をクリアしていくことに近道はなくて、大変な工程です。これは単にコミュニケーションツールを導入したり、人を増やしたりすれば良いということでもないです。どうしたら解決できるのか。常に模索し続けています。

そして2つ目は、「こまちカフェ」のようなカフェ型居場所を100か所に展開すること、取り組みの1つである「ウェルカムベビープロジェクト」を10個に広げていくことを今後の構想として考えていますが、展開に必要なベース作りに力を入れています。いろんな地域に展開するためには、一つの型をベースに、各地域の文化に根差した展開をしていこうと考えています。ボランタリーチェーンで独立採算制を取って展開することを考えています。しかし、展開するうえで必要なベース作りが難しいです。私たちならではのノウハウと特徴があったからこそ成り立ってきた部分もあるため、これをどこでも通用する形にどうやってしていくのか。この先2年間はベース作りに注力していきます。
―2つ目の展開というのは、まずは関東地域だけでしょうか?
いえ、場所は問わず全国どこでも、です。場所は限定していません。実際に、ワークショップは沖縄でも開催したりしています。
―ぜひ愛知県でもお願いします!3つ目の重点テーマは何でしょうか?
「こまちぷらす」内のことです。スタッフ一人一人が望む働き方をかなえていく。その仕組みづくりです。NPOとして9年目を迎え、多くの人に関わっていただいています。フルタイムの人、子育て中の人、プロボノとして関わる人、インターン生、そしてボランティアで関わる人。本当に多種多様です。時間も想いも、いろんな人がそれぞれの度合いで関わっています。多様な働きやすさに応じた仕組み作りを続けてきていますが、まだ完成しているとは言えません。これからも一人一人が望む働き方を叶えられるように、仕組みづくりに注力していきます。
―改善し続けていることは、製造業時代に得た知見を活かせているのかもしれませんね(笑)
そうかもしれないですね(笑)ただ、繰り返しになりますが、仕組みはまだまだです。でき上がっていません。今後も「こまちぷらす」が影響を及ぼす地域に、そして「こまちぷらす」の中の人たちへ、より良い仕組みを展開していけるように、邁進していきます。
―遠い愛知県から応援しております。本日はありがとうございました!
関連リンク
「NPO こまちぷらす」さんはこちら!
【前編】はこちら