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2021.9.03

【NPO#4】対話を通じて輪を広げる@北海道ネウボラ【前編】

NPO 北海道ネウボラ
理事長 五嶋耀祥さん

今回は北海道札幌市を拠点に活動されている、NPO北海道ネウボラ理事長の五嶋耀祥さんにお話を伺いました。北海道ネウボラとは...詳しくお話を伺いました!
ー本日はお時間をいただきましてありがとうございます。
 はじめに発足理由を教えてください。
団体の発足には自身の子育ての経験が大きく関係しています。
私は25歳で妊娠し、26歳で出産しました。企業に勤めていましたが、当時は育児と仕事を両立することができる環境が十分ではありませんでした。男性は一日働いているため、育児の方は女性がやらざるを得ません。そのため復職しようと思ってもできず、非正規雇用として働く選択肢しかありませんでした。そして、このように好きな働き方もできず、女性ばかりに育児の負担がかかるのはおかしいと思うようになったのです。このような思いを抱きながら非正規の大学職員として働いていた時「ネウボラ」に出会い、強い憧れを持つようになりました。

当時「ネウボラ」がちょうど日本の施策として動いてきた時期でした。
職員として大学にいたので、ネウボラについて研究していた先生と交流し、一緒に勉強会を開くなどしました。これをきっかけに団体を立ち上げたのです。
ーご自身の経験と様々な巡り合わせで設立されたのですね!
 改めて「ネウボラ」について教えていただけますか...?
「ネウボラ」とは、フィンランドの出産・育児支援施設で、妊婦検診をはじめとして産前・産後から18歳に至るまで、育児の切れ目ない支援を行います。

そして2014,2015年に「ネウボラ」のような育児の切れ目ない支援が、日本の政策にも取り入れられるようになりました。「子育て世代包括支援センター」の整備という施策です。そして2020年までにこの施設を全国に展開することが目標とされ、去年の段階で「子育て世代包括支援センター」すなわち日本版ネウボラが、ほとんど全国の都道府県に設置されています。
ーありがとうございます。
 先程の話に戻りますが、「育児の負担が女性にかかるため、女性が非正規雇用として働かざるを得なくなる」といったお話がありました。どういったことが育児と仕事をこなす上で、最も大変でしたか?
家事を行うのも結局全部女性だったことです。
男性は朝から晩まで働いていて帰ってきません。そのため、女性がやらざるを得ない状況にあります。またそもそも育児はお母さんでないとできないことが多々あるので、子どもが生まれてから家事育児をいざ分担しようとしても難しく、女性に負担がのしかかってしまうのです。私もまさにそのような状況に陥りました。

一方フィンランドでは、このような状況をネウボラで指導してくれるわけです。
それはもう、素晴らしいと思ってネウボラの勉強をしました。

また子どもが成長し仕事に復帰した時も、至る所で母親としての負担を感じました。
仕事の間子どもを保育園に預けていたのですが、結構負担を感じました。保育園の送り迎えに加えて、持ち物の準備をしないといけなかったからです。仕事終わりに家事をして様々な準備を行うのは中々過酷でした...

その後幼稚園にも通いましたが、幼稚園のバスの送迎時間は専業主婦向けであったため、
自身で預かり保育の手続きと送り迎えをする必要があり不便さを感じました。

続いて小学校に上がると、児童館の手続きもしなければいけません。様々な手続きを全てお母さんがやらなくてはいけない状況でした。

その点ネウボラは「切れ目のない」支援というフレーズにあるように、産前産後のサービスや子育てに関連する施設につながるための手続きなど、全てのことを繋げてくれる役割を果たしていることを知りました。それもネウボラに憧れを抱いた理由です。

ー確かに、ジェンダー間の平等と言いつつも至る所でギャップを感じることがあります。子育てになるとそれが顕著に表れますね。
 改めて、活動内容を教えてください!


2015年12月に北海道ネウボラを任意団体で立ち上げ、お母さんなどの子育ての当事者向けの子育てイベントや有識者とともに子育て当事者が参加できる研究会、シンポジウムを開催してきました。

また、赤ちゃんひろばや子育て相談室の取り組みも行っています。子育て相談室は対面で行うことに加え、インターネットを使用したオンライン相談やライン相談、AIチャットボットを導入して行っています。このように、今後とも子育て分野においてもICTやAIを活用していきたいと思っています。

そして今年の7月には札幌市の中央区に常設の赤ちゃんひろばを設置し、週5回 9時から15時まで 予約制で開設しています。

さらに認定NPO団体 フローレンスさんと連携して、こども宅食応援団の取り組みも行っています。北海道で唯一のこども宅食応援団ということで、アウトリーチ ( 支援が必要な人に積極的に働きかけを行う ) という新たな支援の形にも踏み出しています。

( 中編に続く )

関連リンク
「NPO 北海道ネウボラ」さんはこちら!
【中編】はこちら
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