2021.9.10
【NPO#4】対話を通じて輪を広げる@北海道ネウボラ【中編】
NPO 北海道ネウボラ
理事長 五嶋耀祥さん
- ー多様な活動をされていますが、活動に対する反応はどういったものが寄せられていますか?
- こども弁当&こども宅食プロジェクトは特に反響が大きかったです。
その中でも、去年コロナ禍で行った「こども弁当」という取り組みは非常に多くの方に喜ばれました。「こども弁当」では、子どもたちとその同居するご家族に無償でお弁当を届けに行きます。この活動を通じて、「応援したい」と言ってくださる方も現れやすくなり、近所の方から虐待の通報を受けたり、大変なご家庭のお手伝いのご相談を受けたりするようになっています。こういった点で支援の広がりを感じているところです。
ただ、全体として様々な反応をいただいています。
北海道では家庭内において、男女平等でない部分が根強くあります。そのため男女平等でない思想にどっぷりハマったお母さんもいらっしゃいます。それゆえ、利用者さんの価値観も様々です。ですが、私たちは多様性を重視するので価値観の部分に踏み込むのではなく、相手の思想を受け入れた上で関わっています。
様々な意見はありますが、「ネウボラがあって良かった」といった反応をいただくことが多いです。
- ー逆の反応をされる方もいらっしゃるのでしょうか?
- 多様な考え方があるので、もちろんあります。
私たちとしては、コンビニのような感覚で利用可能な子育て支援施設があれば良いと思っています。「絶対に来てください」という場所ではなく、私たちのネウボラを選択肢の一つとして選んでもらう場所でありたいのです。
他の子育て支援施設ですと、ビジネスの観点から囲い込みがあったりもするように感じます。そういう繋ぎ止めではなく、来て癒されるような場所にしたいです。ネウボラは本来カウンセリングもするところなので。
- ー多様な考えがあるからこそ、多様な選択肢の一つとして「ネウボラ」が存在している訳ですね。カウンセリングはどういった相談が多いですか?
- そもそも私たちは「相談」ではなく、「対話」や「雑談」を通じてカウンセリングを行っています。現在福祉全体で言われているのが、「相談することの敷居が高い」ことです。相談が難しくなる問題として2点あります。自分が悩んでいることを気づかないことと、悩みを持つことを恥ずかしく思ったり、劣等感を抱き口に出さないことです。これに対し、ネウボラは誰でも気軽に話をすることができるからこそ、このような問題を解決することができます。ネウボラは雑談を通じて本人が悩んでいることを自覚させるのです。そして支援者側も雑談を通じて、子育ての課題など新しい気づきを得ることができるので、相互に成長するカウンセリングが可能です。
これはフィンランド発祥のテクニックで、オープンダイアログという手法になります。
- ー今まで取材させていただいた他のNPOさんからも「悩んでいることにお母さん方が気づかない」ことや「悩みを抱え込んでしまう」といった話を聞いていたので、ネウボラのように気軽に対話できる環境というのは大切な役割を果たしていると感じました。
- このように「対話」できることが、ネウボラのメリットの一つです。
行政の指標で相談件数を数えることがありますが、ネウボラは相談か雑談かわからないので、数を出しにくいですね (笑)話を聞いた側は「困っている」ことは認識しますが、本人は相談のつもりではないからです。ですが、対話や雑談式であるからこそ本人にとっての心地良い空間作りであったり、「次はこのようにやってみよう!」といった動機付けに繋げることができています。
( 後編に続く ) - 関連リンク
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