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2021.9.17

【NPO#4】対話を通じて輪を広げる@北海道ネウボラ【後編】

NPO 北海道ネウボラ
理事長 五嶋耀祥さん

ーありがとうございます。
 少し話が変わりますが、子育ての支援をされていて感じる難しさなどありますか?
予算の側面で困難に思うことがあります。
 
そもそもネウボラ、子育て世代支援包括センターは行政がやるべき仕組みです。しかし札幌市は私たちのようなNPO団体に市民活動として推進させることで、ネウボラを広めています。そのため行政の予算が都市のようにしっかりと確保されていないのです。
 
ボランティアの活動になるものの、人材を確保するためには人件費が必要です。よって組織のマネジメントのためにも「予算」は大切になりますので、予算確保が問題になります。私たちが設けた赤ちゃんひろばから子育て相談室といった一連の仕組みも、行政の施策に則って予算化できる仕組みにしているので、「福祉」としてネウボラに予算を確保してほしいです。 
 
北海道は従来から行政が民間への「委託」を敬遠することが多くあります。こういった部分が支援を継続するために乗り越えていかなければならない課題であると思います。
ー今までの取材でも、「行政の動きが不十分」といった声は聞きました。それを五嶋さんも感じているということですね。
そうですね。
やはり私たち市民が政治と行政の動きに関心を持って、声を出していくところから
スタートしなければなりません。

私は2017年に北海道の子育て審議会の委員に就任し、行政や有識者に対し現在の子育てに関する課題などを伝えてきました。政治家を見て、待機児童など産前産後しか見えていないと感じたし、審議会の議題や行政の施策は政治家の影響を強く受けると実感しました。私が審議会で委員として説得し「切れ目ない支援」の理解を得ることで、枠組み作りの話に持っていけたこともありました。ですが、やはり一番重要なのは私たちが選ぶ政治家の公約であると認識していただきたいです。政治家の動きによって大きく変わります。

また政治家だけでなく、官僚にも動いてもらう必要があります。現在、行政の職員をいかに動かしていくかという点も問題になっていると思います。現場で仕組みを作って予算化していくのは職員の裁量になるので、動いてもらう必要があるわけです。しかしながら、職員の間にも世代間やジェンダー間の問題が存在します。そのため行政の職員間でも新しい取り組みを行うに際し、大きな課題があると感じています。
ーまだまだ課題が多く残りますね。その一方で、支援の現場から「変化してきた」と感じることもあるのでしょうか?
あります!
以前は子育てへの男性の目線が足りませんでした。そのため育児参加をしたい男性はいても制度が追いついていなかったり、使いづらい状況にありました。お父さんの育児参加ができるようになってきた点は進展した部分であると感じます。

ただ色々取り組んできて一番の問題だと感じるのは、子育てに予算がついていないことです。北欧は子どもを優先に予算化している流れがあり、大学まで無償です。こういった子供を優先して予算化する国がある一方で、なぜ日本は子育てにお金をかける意識になっていないのかというところは常に疑問を抱いています。

そういったところはやはり選挙において、世代間の意識の違いや構成比の違いに起因しますし、それに伴うお金の回り方が問題ですね。そしてこの流れを変えることができるのは、政治と選挙しかないと思います。
ーやはり、行政や政治をいかに活用していくかが重要になりますね。
 本日はありがとうございました!
関連リンク
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