2021.10.01
【NPO#5】関わりから学ぶ@ながいく【後編】
NPO法人 ながいく
理事・事務局長 今枝麻里さん
- ー孤独化が原因で虐待を発見することができないという話も聞いたことがあります。
孤独化は大きな社会問題ですよね。 - 虐待が増加しているのかは真剣に検証しないといけない問題だと思っています。というのも以前と比較して、「虐待」のラインが変化していると思うからです。今「虐待」とされることも昔は「しつけ」として、虐待にカウントされていないと思います。虐待の相談件数を見てみると、年々増加はしています。ですが、その「虐待」の内容を考えて比較すると、以前よりも増加していると短絡的に結論づけることはできないと考えます。だからといって今の状況をこのままにしておいて良いというわけではありませんが、数値の中身を考える必要はあります。
- ー確かにおっしゃる通りですよね。通報件数が増加すること自体は良いことでもあります。
- 相談の件数が増えることは大抵の場合良い方向ではあるものの、泣き叫ぶと通報されるなど周りの目がお母さんを苦しめることもあります。なので、難しい問題ではあると思います。
- ーお母さん方の悩みとしてはどのような声があるのでしょう?
- 食事、授乳や発達などについて、日常の中における育児の悩みを聞きます。
そういった悩みを雑談の中で深く突き詰めてみると、深刻な問題に陥っていると判明することもあります。しかし深く突き詰めていくには、お母さん側に一歩踏み出してお話してもらう必要もあります。そのため、私たちはいつでも悩みを打ち明けられる体制作りをミッションとしています。何かが起こった時には、ながいくから行政の相談室や社会福祉協議会のソーシャルワーカーさんや児童相談所等の然るべき専門機関に繋げられるよう体制を構築しています。
また子育てひろばではコミュニケーションに限らず、他のお母さんやスタッフの子どもとの接し方を目にすることで悩みを解消することもできます。子どもに対して神経質になりすぎていたお母さんが、他の人が子どもと接する様子を見ることで「これくらいで良いんだ」というように楽に考えられるようになるのです。 - ー田中さんと今枝さんはどのような想いで活動されているのでしょう?
田中さんからお願いします。 - スタッフも利用者も子どもも意思表示をして、自分のことは自分で決められるようになってほしいと思っています。
わりと、上の人に言われたことをしっかりやることが正しいという風潮があります。
当たり前に、些細なことから自分のやりたいことはやりたいと意思表示をしてもいいんです。小さな選択でも子どもたちは出来なくなっているように感じます。顔色を伺っているような...
「こうしなければならない」のような規範が多い社会なので、それを無視して意思表示することは難しいけれど、それができるような社会になってほしいです。社会全体では難しくても、せめてながいくの中では意思表示ができる環境にしていきたいです。 - ー個を大切にしてほしいということですね。
- 活動においても、些細な選択にも責任を感じて決断できない人が多いです。でも意思表示をして、主体的にものごとに取り組んで欲しいと思っています。主体的に行動できれば団体の活動も広がっていくと思います。また、たとえ団体がなくなったとしても、それぞれが身に着けたことをやれば新しいスタートがきれるはずです。この団体における活動を通じて個々が成長し、ここで学んだことを新しい場所で活かしてほしいと思います。
- ー今のお話を伺っていて
お母さんも子どもたちのことに関して選択をすごく悩んでいるのかなと思いました。 - 子どもについての選択はその子の一生に関わるので、すごく重要にはなります。ですが子どももいつの間にか成長するので、責任を持てる期間って意外と短いです。だから深刻になりすぎず、もっと楽しんで責任を持って欲しいです。
- ー今枝さんはいかがですか?
- 私はこの活動を、自分自身が子育てで大変だった時に助けてもらった恩返しとして始めました。ですから、自分の居場所を大切にしたいという想いと、同じように悩んでいる人の居場所づくりや手助けをしたいという想いで活動しています。子育て広場にはボランティアで沢山の人が集まります。スタッフたちはこの場所を好きでいてくれているので、みんなの居場所になるような空間を維持できるよう活動しています。
- ーありがとうございます!
最後に子育てをされている方へアドバイスをお願いします。 - (田中さん)
お母さんがやりたいことをやってほしいです。そして助けてほしい時はすぐに助けを求めてください。子育て中はどうしても自分のことは後回しになってしまいがちですが、子どもはあっという間に成長します。その時期が終わったら子供に自分を投影してするのではなく、好きなことを自分でやってみてください。
(今枝さん)
転び方や転んだ時の対応を子供に見せてほしいと思います。
「人に迷惑をかけるな」と教えると、子どもは助けを求められなくなります。助けを求めたり、失敗する背中を見せてください。そして子どもが道を踏み外しそうになったとき、正しい道を示すのではなく、選択を受け入れてあげて失敗したときの準備をしてあげてください。失敗することが大きな成長に繋がります。
そして子供をしっかり見てほしいです。マニュアル通りにやる必要はありません。自分の勘と感覚を信じてください。きっと大丈夫です。 - ー貴重なアドバイスありがとうございます。多くの方に届きますように。
本日はどうもありがとうございました! - 関連リンク
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